田原総一朗

田原総一朗

ジャーナリスト・田原総一朗が戦争とメディアを語る。

(写真:竹田茂

プーチンの戦争と日米同盟、石原慎太郎との大げんか

あらゆるものがDX化していく社会において、メディアの役割もまた変革が求められている。日本のメディア界で長年活躍してきた田原総一朗は今、何を思うのか。メディアの激動の時代を振り返りながら語る。

Updated by Soichiro Tahara on April, 4, 2022, 8:50 am JST

すべてをひっくり返した玉音放送が、ジャーナリストを志す基点になった

僕はこの4月に、88歳になる。
マスメディアの世界に身を置いてからも半世紀をはるかに越える。
この間、さまざまなことを見てきた。

小学校(国民学校)5年の夏休みに聞いた玉音放送。2学期が始まり、一斉に大人たちが民主主義を語りだす。これまでの価値観がひっくり返り、もう自分の眼で見たこと、確かめたことしか信じないと誓った。ジャーナリストとなり、いくつもの政局、政争に立ち会い、政治家たちと真剣に本音で渡り合ってきた。戦争や経済危機の最中も、かならず現場に出た。
TVの番組はいまも続けている。マスメディアとともにあり続けてきた今日までを語りたい。

プーチンの誤算とバイデンの苦しみ

2月24日、プーチンがウクライナで戦争を始めた。
あきらかな侵略戦争である。しかし、誰もこの戦争を止められない。欧米西側諸国、国連はすぐに対抗措置、ロシアへの強力な経済制裁を決めた。それでも軍事攻撃は続き、都市は破壊され、避難民と市民の死者は毎日増え続ける。第二次世界大戦終結から77年目。欧州はグローバル化が日常となったこの21世紀にふたたび戦火を見ることとなった。米国バイデン大統領も自国の兵士を戦場に送ることなどできない。すぐさま世論の反発を受け、民主党も今年の中間選挙、次の大統領選での手痛い敗北が必至となる。バイデンも2020年秋のトランプの失敗を見ている。そしていまトランプが復活を虎視眈々と狙っていることも。僕はこの戦争、長期化すると考えている。それはプーチン最大の誤算でもあるのだが。