多様性のある社会を守る
ジャスミーのIoTプラットフォームを活用していくことで、様々な分野でデータを安全かつ自在に使える環境が到来する可能性がある。その用途は幅広い。
1つはデジタルツイン。「デジタルツインではバーチャル空間側で制御を乗っ取られてしまったら、リアル空間の機器などが暴走する危険性があります。本人性の確認には、ブロックチェーンが有効で、本人以外の制御を防ぐことができます」(佐藤氏)。
カーボンクレジットでも活用が期待される。佐藤氏は「CO2の吸収をIoTデバイスで測定する際に、そのIoTデバイスが適切な場所で適切に測定しているかが確認できないと、意図的な操作が可能です。IoTのデータ管理にブロックチェーンを使うことで、正しく測定している機器からのデータであることが確認でき、カーボンクレジットのマーケットプレイスの有効な活用につながります」と説明する。
さらに日本旅行との取り組みも進めている。「旅行では、団体旅行や個人旅行、仕事の出張などで同じ人でも異なるデータを渡したいケースがあります。データそのものはパーソナルデータロッカーに貯めてもらって、次の旅行で渡したいデータだけを旅行会社に渡す制御をすることで、適切な情報を元にした旅行プランや飲食店などを提供してもらえます。ジャスミーが特許申請している技術で、渡す情報の粒度を適切に変えられることで実現します」(佐藤氏)。
佐藤氏は、「個人情報保護法の黎明期に守りに入ったのと同様に、今は個人に関係するデジタルデータを危険だからといって出さないことが正しいと思い始めているように感じます。しかし、それではソリューションは進化できません。元々のインターネットは、多様性を認めるものでした。書店に置いていない書籍を買えるロングテールのサービスはその代表でしょう。しかし、ビッグデータ化が進み、効率的、類型化が進むことで 、多くの人の行動に従ったリコメンドが表示されるように多様性が失われているように感じます。データの民主化は、もう少し多様性を認められる社会を作るカギを握ると思います」と語る。多様性のある社会を守り続けるためにも、自分のデータを自分で制御できるデータの民主化について誰もが考えておく必要があるのだ。