米国に本社を有する会社のみならず外国会社についても管轄が生じうる
具体的には、クラウド法は、「電子通信サービスあるいは遠隔コンピューティングサービスを行うプロバイダは、顧客や契約者に関係する有線又は電子通信、その他のいかなる記録や情報についてもこれを所有し、管理し、又は制御している場合、その通信や記録、その他の情報が米国の内外のいずれにあろうとも、[令状等に基づき]保全(preserve)、バックアップ、又は開示(disclose)をするという義務に服さなければならない」(下線は筆者)と定め※3、令状による域外データの強制取得を明示的に認めた。
他方、クラウド法は、外国政府が米国とクラウド法協定を締結することにより、外国政府がプロバイダに対し米国に蔵置されるデータの開示を求めることができることとした。
プロバイダがこの法律に服するかどうかは、米国の管轄が及ぶかどうかによるところ、米国司法省はそのホワイトペーパー※4において、米国会社、米国に本社を有する会社のみならず、米国においてサービスを提供していることによって外国会社についても管轄が生じうる、としている。
※3 18 U.S.C. § 2713。邦訳は、指宿信教授『越境するデータ、越境する捜索-域外データ取得をめぐる執行方式に関する欧米の立法動向』「Law and Technology No.82」51頁を参考にさせていただいた。
※4 Promoting Public Safety, Privacy, and the Rule of Law Around the World: The Purpose and Impact of the CLOUD Act