自然発生的マルチクラウドの何が問題か
では、このような自然発生的マルチクラウドは何が良くないのでしょうか。各部門でそれぞれ適切な環境をした結果、その部門に閉じて言えば最適化は図れます。
ただ、ひとたびそれが部門横断するようなことになると、厄介なことが生じてきます。例えば、部門間で異動や人員補充しようとすると、複数のクラウドに見識のある人が必要になってきます。また、部門間でデータのやり取りをしようとした時、それぞれのデータの重要度にはギャップがあるかもしれません。
パブリッククラウドとプライベートクラウド間のやり取りであれば、技術的にはそれほど難しくないのかもしれませんが、リスク管理やコンプライアンスなど、気の滅入る調整が必要になってきます。そのようなオーバーヘッドを加味すると、ク ラウド化したメリットを、デメリットが超えてきてしまう可能性があります。局所的に起こっていた部門の中の課題が、時間が経つにつれて経営課題にすら発展してしまうこともあり得るかもしれません。経営課題としては、DX推進人材の不足や、セキュリティガバナンスの煩雑化などが挙げられます。つまりこの自然発生的マルチクラウドは、データ民主化の阻害要因になってしまうということです。そこで、利用するクラウドを統一しようとか、事前によく計画してからクラウド化を進めようとか言われるわけですが、それができたら苦労しないですよね。