佐藤秀明

佐藤秀明

京都の南禅寺から、哲学の道を辿って法然院へ。暗い林の中、山門の奥の若葉が輝いて見える。雨が降ったら必ず訪ねるお寺だ。

(写真:佐藤秀明

切り離せない、雨と日本の美しい景色

写真家の佐藤秀明氏は20年以上にわたり、全国各地の雨の写真を撮り続けている。写真家の目を通して雨の風景を見てみれば、憂鬱な季節に対する印象が変わってくるかもしれない。

Updated by Hideaki Sato on June, 3, 2022, 9:00 am JST
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雨の波紋。じっと眺めていると音楽が聴こえてくる。でもなかなかうまく撮れない。
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京都南禅寺の疎水橋。雨の頃がこれまた好きな場所。瑞々しい楓の葉がインクラインの渋さと好対照だ。
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土砂降り。京都の古い町家の長屋で雨宿りをした。傘もささずに中程の豆腐屋に駆け込んだ人がいた。
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雨が似合う花といえば、やはりアジサイ。この時期になるとあちらこちらで見かける花だ。きっと育てやすいのだろう。そういえば、近くの駐車場の片隅にも植わっていたっけ。
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夏の土用、身延参りの信者に静かに雨が降りかかる。
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走り梅雨。標高の高い森を覆う霧雨。下界から登ってきた緑がまだ初々しい。
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夏の雨の代表格は梅雨と夕立。都会を洗う雨に涼しさが漂う。
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初夏の青葉を艶やかに見せる雨の頃に、いつもやってくる小さな蝶。

最初に雨の美しさに気づいたのは、福井県小浜市を取材しているときだった。6月のとにかく蒸し暑い日で、突然激しく降り出した。

カメラを抱きかかえるようにして逃げ込んだ寺の軒先で、雨に濡れる美しい山門を見た。たちまちに濡れた地面からは、雨の匂いが立ち上った。

そのときに、気がついた。日本の美しい風景と雨は切り離せない。以来、雨の虜になった。僕はこれからも、変わりゆく日本の風景とともにある雨を撮り続けるだろう。

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雨降りには睡蓮がよく似合う。
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山形の民話には、雨の怖い話がちょくちょく登場する。でもこの老夫婦は梅雨を楽しんでいるようだった。
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栃木市。古い商家が多い。霧のような雨が降っては止みを繰り返していた。長野県下伊那郡ではこういう雨を「霧の小便」というそうだ。
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雨上がりの朝。葉の雫が宝石のように輝く。