岡村 毅

岡村 毅

Calligrapher: Sugawara Mitsushige|“Universal Gateway,” Chapter 25 of the Lotus Sutra|dated 1257

(写真:メトロポリタン美術館 / The Metropolitan Museum

大きな声で朗々と、普段は使わない言葉を読み上げる。長い高齢期を有意義に生き抜くヒント

超高齢社会においては、心身の機能をできるだけ保持することが望まれる。とはいえ、誰しも苦しくて面白みのないトレーニングはしたくない。しかし実は、日本の文化に根付いたある行為が高齢者の心身を守ることにつながるかもしれないという研究結果が発表されそうなのである。精神科医の岡村毅氏が研究員に話を聞いた。

Updated by Tsuyoshi Okamura on October, 23, 2023, 5:00 am JST

長い高齢期を有意義に生き抜くための宗教

インタビューは以上である。
かねて「宗教者が長生きである」とか「認知症になりにくい」という研究は知られている。心が安定しておりストレスが少ない、抽象的なことを考えているので脳の刺激になる、などの仮説が出されている。

しかし宗教というと現代では「危ないもの」として避けられることがある。しかし、例えば般若心経などであれば特定の宗教をもたない人にとってもそこに触れるハードルは下がる。私見であるが、般若心経は、あらゆるものは変わり続けるので執着することなく覚醒していなさいということを述べており、あまり教条的ではない。実は般若心経はHeart Sutraといって外国人にも人気がある。他の宗教の人にさえも受け入れられるのではないだろうか。これはマインドフルネスが世界的に受け入れられたことに通じるはずだ。

人生60年の時代には、長い高齢期が存在しなかったが、人生100年時代においては、ヒトは長い高齢期を生きなければならない。できるだけ機能を維持しながら、そして有意義に生きることは皆が望むことであろう。また機能が落ちてきても、同じような生活をするための知恵が求められる。読経という日本人が1500年ほど行ってきた動作は、実は鍵になるかもしれない。

左から、宇良千秋研究員、筆者、枝広あや子研究員