Kaede

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(写真:Mukesh Kumar Jwala / shutterstock

インドで急成長するデジタル系スタートアップ

インドのIT都市バンガロールでは、日常生活で必要な各種サービスをスマホひとつで利用できる。こうしたサービスの多くは、インド発のスタートアップが提供している。
今回の記事では、これらの生活サービスについて、インド都市部で成長している理由、および現地在住の筆者の利用体験を交えて紹介していく。

Updated by Kaede on June, 30, 2023, 5:00 am JST

家の「困った!」を即座に解決。インド最大規模のユニコーンとなった「Urban Company」

Urban Companyは、様々な分野のローカル業者を自宅に派遣する「ホームサービス」のプラットフォームである。家の掃除、水回りや家電の修理、害虫駆除、ネイルサロンやマッサージなど、多岐に渡るサービスをワンストップで提供している。

同社は2014年にインド北部の都市、グルガオンで創業したスタートアップで、ホームサービス分野のプラットフォームとしてはインド国内最大規模、2021年にユニコーン企業となった。

筆者も頻繁に利用しているサービスで、ホームクリーニングや、害虫駆除、水道の修理や、カーテンの取付けなど、家の「困った!」があると、毎回同社のサービスを利用している。予約からサービス実施まで、一連のプロセスも非常にシンプルである。アプリ画面から各種サービスを選択し、定額のサービス料をオンライン上で支払い、最短で翌朝には業者が到着して、サービスを完了してくれる。

Urban Compnay アプリ画面(筆者提供)
Urban Companyの家の掃除サービス。家の隅々まで、専用のクリーニング用具で綺麗にしてくれる(筆者撮影)

Urban Company は、インドのホームサービス業界では最も急速に成長している企業で、2022年度は5,200万USDの売上を計上、前年比を73%上回っている。

Urban Companyがこれほど成長しているのには、「業者を自宅に呼んで、サービスを依頼する苦労が大きすぎる」という背景がある。インドでのホームサービス業者(大工や配管工など)は中小零細企業が多く、サービスの質や価格が事業者によってピンキリである。信頼できる業者を見つけるのは一苦労で、知人に紹介してもらうか、ウェブサイトやマップで近隣の業者を見つけ、電話をかけなければならない。現地語が話せないと、コミュニケーションすら一苦労である。何とか約束を取り付けて修理に来てもらっても、仕事の質に対する依頼者と業者の期待値にずれがあり、コンディションや支払いでトラブルになることもある。

筆者の体験談も交えると、バンガロールの新居のアパートに引っ越した際、窓枠やドアのカギなど何点か修理が必要な箇所があり、大家が何年も前から知っている大工に依頼したが、実際に取付に来たのは1週間後だった。また、窓に網戸をつけて欲しいと依頼すると「そんなちょっとした作業のために、わざわざ修理には行きません」と門前払いされたこともあった。