Kaede

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(写真:Mukesh Kumar Jwala / shutterstock

インドで急成長するデジタル系スタートアップ

インドのIT都市バンガロールでは、日常生活で必要な各種サービスをスマホひとつで利用できる。こうしたサービスの多くは、インド発のスタートアップが提供している。
今回の記事では、これらの生活サービスについて、インド都市部で成長している理由、および現地在住の筆者の利用体験を交えて紹介していく。

Updated by Kaede on June, 30, 2023, 5:00 am JST

ギグワーカーも「プロフェッショナル」として育てる

Urban Company は、提携する業者(ホームサービス提供者)の労働環境の向上にも力を入れている。同社は、ホームサービスの提供者(大工や配管工、美容師やネイリストなど)を、単なるサービス提供業者ではなく、「プロフェッショナル」として位置づけている。サービス提供者に対して、高い収入、社会保障、トレーニングを提供している。収入について例を挙げると、同社と提携する美容師の月収は、35,000ルピー(約56,000円)であり、インドの美容師の月収である約20,000ルピー(約38,000円)よりも 1.5 倍高い収入を得ていることになる。生命保険、傷害保険、健康保険を無償で提供し、スキルアップのためのトレーニングも無償で提供している。

前回の記事で紹介したデリバリーサービスのように、インドの都市部ではギグワーカーを活用したビジネスが急拡大しているが、ギグワーカーの労働環境に対する支援が十分でなく、雇用の不安定さや賃金の低さが課題として挙げられる。Urban Companyほど、ギグワーカーを手厚く保障している企業は数多くない。インドのシンクタンク NITI Aayog が作成したギグワーカー・エコノミーに関するレポートでも、モデルケースとして取り上げられている。

家具・家電のレンタル「Furlenco」

Furlencoは、レンタル家具・家電のサブスクリプション・サービスである。ベッド、ソファ、冷蔵庫、洗濯機、テレビなど、生活必需品となる家具・家電を1カ月からレンタルすることができる。同社は2012年にバンガロールで創業したスタートアップで、現在はインド国内10都市に展開している。

インドでの都市部では、RentoMojo、 CityFurnishなど、レンタル家具・家電サービスは数社いくつかあるが、Furlencoはシンプルで洗練されたデザイン、品質の良い家具を揃えていることで知られており、都市部の若者に人気がある。

Furlencoのウェブサイト。スタイリッシュなデザインで質の良い家具が、月500~1,000ルピー(約800〜1,600円)でレンタルできる(筆者提供)

インドで質の良い家具を揃えようとすると、それなりの支出を要する。インド国内の家具ブランドは様々あるが、例えば、2人掛けのソファだと、最低でも30,000ルピー(約48,000円)くらいはかかる。IKEAもインドに進出しているが、家具の値段は日本のIKEAとほぼ同じである。引越しなどの際、不要な家具を売る場合も、買取業者を介せず、個人同士での取引が多い(Facebookのグループや知人経由での販売が多い)。個人同士のやり取りとなると価格交渉がハードになり、たとえ使用期間が短くても、元の購入価格の1〜2割の値段まで下げてやっと買ってもらえる、ということも少なくない。

筆者もFurlencoでベッドやソファをレンタルしたが、家具の選択や設置まで、非常にスムーズな体験だった。アプリ上で好きな家具を選択し、配達日時を指定、時間どおりに担当者が来て、家具の設置、組み立てを行ってくれる。家具のレンタル料金は、毎月500~1,000ルピー(約800円~1,600円)ほどである。

ベッドの組み立て(筆者撮影)

Furlencoのターゲット層は、インドの都市部に住む 20-30代の若者、アッパーミドル層である。バンガロールやデリー、ムンバイなどの大都市では、テック企業やグローバル企業で働くため、地方から上京してアパートを借りて住む若者が多い。多くの人は、20代後半~30歳で結婚して家庭を持つが、それまでの数年間の独身生活には、レンタル家具サービスは非常に便利なのだ。結婚して家族と一緒に暮らすようになり、長期的なライフスタイルが確立すると、家具を購入するのである。また、外国への移住やインド国内での引っ越しを予定している人にとっても、家具を必要な期間だけレンタルできるのは非常に使いやすい。