アメリカ人の8%はライオンに勝てると思っている
グリズリーというヒグマの亜種がいます。別名ハイイログマ。どこかで写真をご覧になればわかりますが、ものすごく強そうな動物です。さて、このグリズリーと素手で戦ったとして、あなたは勝利を収めることができるでしょうか?
私の答えははっきりとNOですが、アメリカ人の6%はYESと答えるそうです※1。ライオンやゾウ、ゴリラに勝てるという人も8%いたというので驚きますね。グリズリー、ライオン、ゾウ、ゴリラ! 私にはとても無理です。しかし回答データだけから言えば、1クラス30人ならばクラスにだいたい2人はこうした動物に勝てる人がいるという計算になります。
自分も勝てそうだと思った方、素晴らしい。自分は勝てるわけないよと思った方、ちょっとお待ちください。では次のような場面ではいかがでしょうか。
パイロットが操縦不可能になっても、38%の人が「自分は生き残れる」と回答
小さな飛行機に乗っていたら、緊急事態でパイロットが動けなくなり、あなたしか飛行機を着陸させられる人がいなくなってしまいました。さて、あなたはなんとかして飛行機を着陸させて、この状況で生き残ることができるでしょうか?
これにはYESと答える人が少し増えるのではないでしょうか。実際にとられたデータでも、アメリカ人参加者のうち29%が生きて着陸させられると回答していました※2。ちなみに私も「なんとかしたら生き残れそう」と思ってしまいます。むずかしそうだけど……ちょっと機体を操作して……最終的にはなんとかなりそうな……?
この研究を行ったワイカト大学のジョーダン氏たちは、パイロットが操縦している場面を映したビデオを見せることで、この「自分にもできそう」感をさらに後押しできるのではないかと考えました。ただしビデオの中のパイロットの手元は映らないようになっており、計器や操縦桿の操作方法についてはなにも役にたつ情報がないように設定されていました。
このビデオを見た人たちは、ジョーダン氏の予測通り、自分の生存可能性を高く見積もるようになっていました。長年飛行機を操縦して きたプロのパイロットからすると10-15%の生存率しかないらしいのですが、実に38%の人が自分は生き残れると回答していたのです。また、パイロットと同じように飛行機を操縦できるだろうという自信も、ビデオを見なかった人たちが16%なのに対し、ビデオを見た人たちは25%まで高くなっていました。