埋立地のメタンガスを有効利用できないか
-- エネルギーの話は次の万博にどのように関連しそうですか?
太刀川 京都に核融合を頑張っているところがあるので、核融合の電気を世界で初めて万博に送るとか、できたらすごいですけどね。
暮沢 核融合は水があれば何とかなるから、資源は無尽蔵ですね。原子炉の開発のハ ードルが高いので、問題はそこですが。あとはガス館ができるそうですが、もし電力館とかそういったパビリオンができるのであれば、そういったものも示してほしいなと思いますけども。
太刀川 もちろん、万博で使っている電気自体は全部、持続可能な電気にしてほしいですね。きっといろいろな策を考えているはずです。とはいえ、それも入札になるはずなので、どういう魅力的なテーマにするのか。例えば、今、日本として発信したいことに水素エネルギーの話があると思います。日本は水素の分野では、水素キャリアや利用方法などでさまざまに見せられるものがあるので、そこはきっと発信されるでしょうね。おそらく、万博のためだけに新しい電源などの開発はしないと思うんです。だから編集的になるわけですが、そのエネルギーが何だったら万博としていいストーリーになるのか、という話を考えているはずです。
個人的にあるところに提案してみたのは、夢洲みたいな埋め立て地って、掘るとメタンガスが出るんですね。なのでそれを回収して使えないのかという話です。ただこれはガスの品質的には難しいと。とはいえ、そういう観点で見ていくことはすごく大事。スクラップ&ビルドしない万博を考えるのだったら、例えばガスタンクをリサイクルして建物をつくるとか、何かやりようはあると思うんです。
「脱成長」は自分たちが掲げることではない
暮沢 ところで、「いのち輝く」とは高齢社会のソリューションのことともとれると思うのですが、基本構想の中ではそういう話は出てきますか?
太刀川 基本構想の中では、僕はわりと生態系的な意味でのダイバーシティの話をしていました。でもメンバーのなかには、福祉の領域に興味がある方もいるわけです。そのような方は、あらゆる立場の人を社会で包摂していくことにフォーカスを当てようと提案していました。 「いのち」という言葉が指す先はすごく多様です。高齢者ももちろん入ります。でも、僕はやっぱり人間外のいのちや、未来の子供たちの世代にフォーカスを当てなきゃいけないよね、という姿勢の人なんです。
もちろん基本的には、みんなアグリーです。多様な人を包摂していくことに関しては。だから、両方やればいい。高齢化していく社会も現実だし、気候変動や生物多様性の崩壊で文明が持続できなくなる社会も予測されているわけですからね。