佐藤秀明

佐藤秀明

大阪の鶴橋。高架下にも道があり、商いがあり、今日も人々が行き交っていく。2000年撮影

(写真:佐藤秀明

迷子が生み出す、郷愁の景色

写真家・佐藤秀明氏の作品群のなかから「路地裏」をテーマにした写真を紹介する。

Updated by Hideaki Sato on December, 26, 2022, 5:00 am JST
潮待ちの港
江戸時代には「潮待ちの港」として栄えたという鞆の浦。当時の人たちは、何を考えながらこの道を歩いていったのだろうか。2017年ごろに撮影。
波照間にて
波照間島の日差しの下を歩く。真っ赤なハイビスカスはまるでクスクス笑っているようだった。2012年に撮影。
東京の本郷
東京の本郷を歩く。緑がいっぱいの小道。1980年代に撮影。
尾道の壁
見上げるとそこは行き止まり。尾道にて。2019年に撮影。

僕の仕事は街をうろうろすることから始まる。何か面白いものはないかと、あちこちを歩き回っているとついつい引き寄せられる場所がある。路地裏だ。

路地裏はそこで生きる人々の生活が見えるが面白い。なかにはカメラを持った人間がうろつくことを嫌がる人もいるけれど、僕が撮っているものがただの路地であることがわかると段々と許してくれる。

浅草の横丁
夜の浅草。香ばしいにおいと、昼間よりもやや大きくなった人々の声が満ちる。2019年ごろに撮影。
佃島の花
家々の合間にある細い道を抜けていく。時折出会う花に心が和む。2019年ごろに撮影。

魅力的な路地裏は駅の近くに多い。だから僕は例え車ででかけても、まずは駅の近くへ行ってみる。

魅力的な路地には出口も入り口もない。次々と複数の路が連なっている。

鳥居
町なかに現れた鳥居。建物に囲まれても、その存在感は変わらない。広島の尾道市にて。1980年ごろに撮影。
東京の京島
東京の京島。23区内にもこのような風景があった。2000年代に撮影。
北千住の柳原
北千住の柳原。暮れていく空を背景に、オレンジ色の街灯が灯り始める。1990年代に撮影。
東京月島の画像
月島の路地裏にて。植木鉢とバケツが重なり並ぶ風景。2000年代に撮影。
沖縄
沖縄の道を歩いていたら、鮮やかなピンク色がパッと目に飛び込んできた。首里城の近くで2000年ごろに撮影。

僕は面白い路地を求めるときは、生活音がする方へする方へと動いていくから、気がつくとどこにいるのか検討もつかなくなっている。

迷子になっているのだ。

けれどやはり、そういうときほど面白い写真が撮れる。迷子になっているときが一番いい写真が撮れるときなんだ。

世界のどこへ行ってもそう。生活感のある路地は面白いね。

本郷の路地裏
昔ながらの家とタワーマンション。新旧が混ざり合っている。2015年ごろに撮影。
佃島
東京の佃島の路地裏。百合の花が出迎えてくれた。2000年ごろに撮影。
広島の鞆の浦の夜
鞆の浦の夜。紺色の夜空の下、立ち並ぶ町屋が美しい。2017年ごろに撮影。
広島の鞆の浦
広島の鞆の浦。真昼の光に道が白く浮かび上がって見える。2017年ごろに撮影。
尾道の一枚
広島県の尾道を歩く。道を抜けた先には何があるのか。1980年代に撮影。
尾道の家
道を歩いていると出会った古い家。新しい建物の横でシンと佇んでいる。2019年に撮影。
尾道
尾道の分かれ道。どちらを進むか。1980年代に撮影。
浅草
浅草にて。人々の賑やかな笑い声が聞こえてくる。2019年ごろに撮影。
浅草の初音小路
浅草の初音小路。藤棚が涼やかな影を道に投げかける。2019年ごろに撮影。
長野県の上田
長野県の上田。人が通る道だけ雪がのけられ、「ようこそ」と呼んでいる。1990年代に撮影。
東京の月島
東京の月島。狭い路地裏は、大きな通りと打って変わって静かなものだ。2000年ごろに撮影。
京都の西陣
京都の西陣。その名のとおり、西陣織が発祥した地。2010年ごろに撮影。