「社 会的フレイル」が先行し、身体的、精神的にも虚弱になっていく
2022年、日本の高齢化率は29.1%に達しました。およそ3人に1人が65歳以上ということです。超高齢社会が問題になるのは生産人口の減少とともに、要介護人口が増えることにあります。介護や医療の担い手は減る一方で、サポートを必要とする人が増えるのです。そこで近年、年齢にともなう虚弱=フレイルの予防が注目されています。フレイルを予防することで、健康長寿を実現し要介護人口の増加を抑えることが必要なのです。
フレイルには3つの側面があります。「身体的側面」「精神的側面」「社会的側面」です。この3側面は相互に関連がありますが、特に社会的側面のフレイルが先行するという傾向があります。フレイルの社会的側面とは、友人づきあい、社会参加が減少し孤立がふかまることです。外出が減ることで足腰が弱り身体的フレイルが進行し、人と話さなくなることで認知機能などの精神的側面でのフレイルも進行していくからです。
コロナ禍で社会的フレイルが進行、この2~3年で歩行困難や認知症を発症する高齢者数増加
2020年以降の新型コロナ禍においては、不要不急の外出や親族や友人との会食が控えられました。まさしくパンデミックにおける社会政策によって社会的側面のフレイルが加速された期間でした。そのためこの2~3年で、歩行困難や認知症を発症する高齢者数が大幅に増加しました。
配偶者の死や病気入院をきっかけに、あるいは若年世代が都市部に出ていくことで、独居の高齢者は増加傾向にあり、超高齢社会では誰もが「社会的フレイル 」に陥る可能性があります。健康長寿社会を目指すなら、まず、社会的フレイルの予防からスタートする必要があるでしょう。