木村守宏

木村守宏

データ処理のインフラの違いで10倍もの性能差。コニカミノルタが支援する、自治体の業務効率化

オフィスの複合機などのハードウェアビジネスがメインだったコニカミノルタ株式会社は、ソリューションに注力する方向をグローバルで打ち出した。従来はハードウェアの周辺商材として提供していたDXソリューションを、ビジネスの柱に育てる考えだ。コニカミノルタの国内ビジネスを担うコニカミノルタジャパンでも、2022年度にDXソリューション事業部を新設し、DXソリューションに注力する方向性を鮮明にしている。

Updated by Morihiro Kimura on September, 15, 2023, 5:00 am JST

自治体内でデータを分析することで、新しい価値が生まれる

文書管理システムを提供する中で、データやシステムのあり方についても感じることは増えてきているようだ。木村氏は「データや情報は誰のものかを考えなければならないでしょう。データは各自治体のものです。自治体ごとに個別にAI(人工知能)などでデータ分析して、地域の中のクセを把握して業務執行の効率化につなげていくことが可能となります 。さらに異なる自治体との間で分析結果の情報交換などをすることで、新しい価値や気づきが生まれていきます。地域のクセを比較して、ある地域で得られる合理性を、クセが似ている異なる地域が参考にするといった活用の可能性が広がります」と説明する。

どこかの特定の地域でソリューションを提供する際に「要件定義で苦労したことが、実は地域の特性によるクセだった」「特殊な要件と思ったことが普遍的な課題だった」という意見交換が可能になるというわけだ。「将来的には、総務省が全国を俯瞰して国としてあるべき自治体のオペレーションを整理していく必要があるでしょう。自治体のデータを横串にして活用できれば、民間のデータの分析とは異なった未来が描けるのではないでしょうか」と木村氏は自治体のデータ活用の意義を唱える。

自治体ごとの様式を生かすことも、業務を効率的に進めるためには必要

こうしたデータ活用によるシステムの最適化は、都道府県間だけでなく、都道府県と市区町村などの関係でも価値を生み出す。

「データを分析することで、より合理性を高めるシステム構築の指針が得られるでしょう。都道府県と市区町村で同じシステムを導入したら、市区町村にとっては重すぎる可能性もあり、どの程度のシステムが求められるかを見極めるためにもデータの活用は不可欠です」

一方で、自治体のシステムならではの難しさもある。

「民間ならば、合理性を理由に業務の変革が認められるケースがあります。しかし自治体では、合理性だけを理由に職員の皆さんの仕事を180度転換させることは難しいのです。ルールや手順にある自治体ごとの様式を生かすことも、業務を効率的に進めるためには必要だと考えています」

さらに「自治体の職員にとって、システムは鉛筆などと同じ道具であることも重要な視点です」と木村氏はいう。保守運用も含めて、コニカミノルタジャパンのようなソリューション提供企業が、各自治体の文化に合わせたサポートを続けて、ようやく道具としての使い勝手を提供できる。国内ベンダーとしてのコニカミノルタジャパンのサポートと、安心安全を保てる国内クラウドの活用によって、自治体の文化や特性を生かしながら業務課題を解決するためのソリューションがようやく現実のものになってきているようだ。