澁谷紳一郎

澁谷紳一郎

「多くの企業はまだ本当のDXには到達していない」。大量データの高速処理とローコード開発を武器にしたKeepdataのデータ基盤戦略

DX(デジタル変革)は、一時期の流行り言葉というスタンスから、企業にとって必要不可欠なものになりつつある。とは言え、データを活用できるのは部署単位であったり、システムもバラバラで全社的なDXの環境が整っていなかったりというケースは少なくない。
こうした状況をKeepdata株式会社 代表取締役の澁谷紳一郎氏は「データが人質になっている」と表現する。

Updated by Shinichiro Shibuya on August, 8, 2023, 5:00 am JST

自由にデータを扱う本当のデータ経営が実現できていない

澁谷氏は「まだ本当のDXには到達していない企業が多いと思います。数十にものぼる外販DXツールがあふれるかのごとくリリースされているため、企業はいくつかのDXツールを導入するだけでDX化ができると思っているようです。しかし実はそのようなツールの多くは、サービス提供者がさまざまな制約のもとにデータを保管するというもの。ユーザーは自由にデータを活用できない状態になることが少なくありません。それをわかったうえで導入、使用しているユーザーはわずかでないかと思います。 既存の業務システムに加え、DXツールを導入しても肝心かなめなデータのあり方やソリューションの提供元は分散していて、横串でデータを使おうとしてもデータが渡せないような状態です」と現状の課題を指摘する。ツールごとにベンダーロックインがかかり、自由にデータを扱う本当のデータ経営が実現できない状況なのだ。

Keepdataは2009年にサービスを自社開発することにこだわり設立。独自に開発したオンラインストレージシステム、データの高速解析集計検索システムにより企業のDX化を支援している。現在では、法人向けにスマートデバイスのビジネス活用を促進するクラウド型セキュアなファイル共有サービスの「SmartBiz+」を中心に、約200社の顧客を持つ。

2017年からはデータ活用プラットフォームの「Smart Hub」を開発、提供。 Smart Hubは、データ収集から解析、集計、検索、業務の自動化までのプロセスを手軽に実行できる純国産のデータ利活用プラットフォームだ。大量のデータや散在するデータ、既存システムから必要なデータを取り込み高速で利活用利込みできるSmart Hubは、大量に散在するデータをもつ不動産市場向けDXサービスへのリリースを皮切りに、マスターデータ関連のソリューションを展開している。

「オープンデータのデータ、スマートフォンやタブレットからの写真、動画、音声、テキスト、ログなどデータを貯めて、それを簡単に一元管理、高速解析、集計、検索して利活用できる仕組みを提供するのがSmart Hubです。これからのDXのあり方を具現化するプラットフォームだと考えています」(澁谷氏)。創業からの柱であるファイル共有サービスの提供に加えて、現在はSmart Hubを中核に据えたDX支援ビジネスに舵を切っているところだ。