スウェーデン東インド会社と茶
本国スウェーデンでさえ知られていない貿易会社であるスウェーデン東インド会社は、1731年に創設され、1813年に解散した。スウェーデン東インド会社の貿易とは、広州からの茶の輸入を意味し、大量の茶がスウェーデンへと輸入されたのである。
だが、スウェーデン人は、茶ではなくコーヒーを飲むことで有名である。そのスウェーデンに、国民全員が飲んでもまだまだ余るほど大量の茶が輸入された。そのため、茶の多くは再輸出されることになった。
茶はまずオランダとオーストリア領ネーデルラント(現ベルギー)に向かった。オランダは当時のヨーロッパ最大の商業国であり、オーストリア領ネーデルラントの都市オーステンデは、1727〜31年間の短期間しか続かなかったが、アジアとの貿易に従事したオーステンデ会社の根拠地があった都市である。したがってヨーロッパ有数の貿易都市であり、おそらくスウェーデンからオーステンデへと、茶が輸出された。
その多くは、おそらくイギリスにわたった。イギリスはヨーロッパ最大の茶の消費国であったからだ。そして、イギリスへの茶は密輸であった可能性がきわめて高い。スウェーデンの茶は低級茶であり、所得が低い階層の人々が飲んだものと思われる。