機密指定するよりも低コスト。データは公開する方向へ舵を切るしかない
これまで偵察衛星のデータは「公表してしまえば、どこまで見えているかが敵対勢力に分かってしまう」という理由から、機密指定を受けてきた。
しかし、「情報の公開」が「情報の秘匿」よりも簡単かつ低コストという時代になって、情報の秘匿にかかるコストはどんどん大きくなりつつある。トランプ前大統領が米偵察衛星のデータをTwitterにアップしてしまったように、非常に情報は漏れやすくなっており、しかも一旦漏れてしまえば情報を回収することはできない。速やかに複製され、拡散していく一方である。
偵察衛星のデータは、撮像データそのものと、「いつ、どこを撮影したか」のメタタグとから構成される。実はこのメタタグが重要で、これから「その国が何を狙っているのか」という情報を得ることができる。特的地域を集中的に観測していれば、「そこに注目している」ということが分かる、とい うように。
このうち、どこを撮影したかは、画像を見れば分かってしまう。「いつ撮影したか」は比較的隠しやすい。
現在の国際政治の状況下で、一気に公開するのは現実的ではないかもしれない。それでも少しずつ、偵察衛星のデータは公開していくべきだ。現在アメリカは過去のデータを徐々に公開している(参照:埋もれたデータの宝庫たる偵察衛星と、地球観測)現行の衛星であっても、メタタグをはずしたサンプルあたりから始めて、徐々にでもデータを公開していくべきである
「地球のマネジメント」という観点に立てば、偵察衛星と地球観測衛星に区別はない。いつの日か「地球を知るための情報」「地球をマネジメントするために必要な情報」として、統一して扱えるようにしていくべきなのである。
最後に、無料ないし低廉な価格で利用できる地球観測ブラウザーを掲載する。これらのページでは地球観測データを実際に閲覧したり、あるいは処理して情報を引き出すことができる。まず自分で地球観測データに触れてみるところから始めてみよう。
未来は自ら作っていくものだ。
参照リンク
・Sentinel Hub EO Browser https://apps.sentinel-hub.com/eo-browser/
・EarthExplorer https://earthexplorer.usgs.gov/
・Tellus https://www.tellusxdp.com/
・Planet Explorer https://www.planet.com/get-started/
・Axcel Globe https://www.axelglobe.com/ja