久野愛/「豊かな消費」を考える
ミニマリズムは所有の呪縛からの解放か?
昨年、イギリス出身のアーティストであるダミアン・ハーストが自身が作成した4851枚のペンディングを焼却した。焼却されたペンディングはすべて購入者がおり、その販売価格はおよそ11億円におよんだという。アー トの購入者たちは実物のペンディングが焼却されるかわりに、それをNFTとして所有することになった。
まったく実態がないようにみえる「所有」にはどのような意味があるのだろうか。現代の人々にとって所有とはなにか。感覚史や消費についての研究を続けている久野愛氏に著してもらった。